羊たちの沈黙
5月18日の朝,センターへ出かけようと玄関を出ると,目の前のネットに大きな黒い影が見えた。
オー・・と思わずうなってしまう。今ではこのネットはニガウリを這わすための網になっているが,初めは子供達のバスケットボールの練習用のボールが内側へ入らないように張ったものだった。
内側に去年はナスを植えたが,秋に裸にされてしまっていた。尻尾の先に突起があって,それがくるりとほぼ一回転しているのが特徴の大きな幼虫である。これがいたのであるが,とろうと思っている間に土に潜ってしまったようで,見つからなかった。それが羽化して土から出てきたばかりのようで,ネットにつかまって体を硬くしている途中であろうと思われた。
クロメンガタスズメ・・・元々はこの蛾は日本にはいなかったのだが,いつの間にか入り込み,いろいろな植物の葉を食べるが,家庭菜園でもトマトやナスなどの野菜の葉を食べて,それこそ裸にしてしまうので,この幼虫を見た方は多いかもしれない。
日本の寒い冬を超えて住み着いてしまった。地球温暖化の証人とされるものの一つである。秋には土に潜って蛹になり,春に成虫が出るのであるが,これまでは飼育してもたいていはケース内の土を乾燥させすぎて羽化に失敗してしまっていた。
自然の中でこんなにも長く蛹で休眠ができるのかと,それにも驚いてしまう。熱帯地方の種だけに,休眠などはしていなかったであろうに,いつの間にかそういうものまで獲得したのであろうか
しかしこんなにもきれいなこの蛾を見たことがなかった。
映画の「羊たちの沈黙」のポスターに使われて,一躍有名になっただけのことはある。