春に鳴く虫

4月も中旬くらいになると,夜7時半頃から人家周辺や,外灯の近くの樹木や草むらから甲高いジーーと言う音が聞こえることがあります.ちょうど今頃の季節,こんな時期に虫が鳴くはずはないが・・という人や,あれはオケラであるという人など,でも正体が分からないのでけっこう質問はくるのです.
この数日,暗くなった頃から近くの草むらで何頭ものこの虫が鳴いているので,撮影できないかと懐中電灯(デンチではありません)をもって,そっと鳴き声の方を照らしてみると,簡単に見つかりました.おもしろい事にこの虫などにはよく出る二つの色のタイプが同時に見れました.
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これがこの大きな声で鳴く虫の正体です.名前はクビキリギスという虫で,秋から成虫で越冬するので,この時期に鳴くのです.上のものは緑色タイプという普通の色で,いわゆるキリギリスのなかまの虫だと分かります.

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すぐ近くにもう一つの色のタイプ,褐色型といわれるものもいました.これは春先の草の中にいるとよく目立ってしまいます.このクビキリギスにはこの褐色や,たまにピンクのものが出て,新聞などに「ピンクのバッタ発見」と紹介されることもあります.
夏に,バッタ類を専門に狩るクロアナバチというハチが,自分の子供の餌として狩る餌の種類を調べていたとき,珍しいと思っていたピンクのクビキリギスの幼虫がかなり刈られてくるのを見て,ビックリしました.ピンクはやはり目立ちすぎてハチにはあっさりと見つかってしまうのかな・・と思ったものです.というよりも,珍しいと思っていたピンクタイプがこんなにいるのかと驚くと同時に,こんなに狩られてしまうからどんどん減ってしまい,珍しくなってしまうのかもしれないなーと一人で妙に納得することでした.